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最強魔女、現代科学に屈す

魔女。

幾多の伝説・伝承を持ち、過去に多くの奇跡を起こしたことで崇め奉られ、時に恐れられてきた彼女達。
その多くはトリックや手品によって人を騙す奇術師・詐欺師だった。

だが、広い世界には本物の魔女が存在する。

『ヘラヴィーナ』

彼女は妖術や奇術とは違う、本物の魔法を使うことができる真の魔女。
その生い立ちは不明だが、少なくとも1000年以上の時を生き、しかし20歳前後の容姿を維持し続ける魔法使いだ。

かつて中世、魔女という存在が最盛を誇った時期。
2万人を超える本物の魔女が確かに存在し、いたるところで奇跡を起こしていた。

善の魔女もいれば、悪の魔女もいる。
そんな彼女達の力を本物だと知っている貴族や皇族はいずれ国を脅かすと恐れた。


魔女狩り―――

人間たちによる魔女の討伐が行われ、各地で弱き魔女達が命を落としていった。
そんな中、一人の魔女が生き残った魔女達を従え奮起する。

聖暦1438年、5月 聖善の魔女ヘラヴィーナ率いる魔女達と人間たちの戦争が勃発する。

個々では数に潰されてしまう魔女達も、結束すれば敵はいない。
人間は予想以上の苦戦を強いられてしまうが、魔女の生き残りもこのときわずか7800人。
戦いは拮抗しつつも、徐々に人間が優勢になっていった。


聖歴1444年、11月 人間と魔女の雌雄を決する大規模な戦闘が開始される。
人間側の戦力は世界各国の強者達で構成された100万を超す軍勢。対する魔女側の戦力はわずか600人。

いくら最高位の魔女を全員揃えたと言っても魔女達に勝ち目はないかに思われたが、この戦いはヘラヴィーナ率いる魔女達の圧勝で幕を閉じる。

ヘラヴィーナはこれまで隠していた禁断の魔法によって、戦いに参加した全ての人間から生命力を吸い取り己の物としてしまったのだ。
こともあろうに仲間であるはずの魔女達からも魔力と魔法の全てを吸い取ってしまった彼女は、全ての魔法と無限にも等しい魔力、そして尽きることなき生命力を手にし、まさに全知全能とも言える存在となってしまった。

彼女は待っていたのだ。

多くの強者、そして全ての魔女が一か所に集まる時を。

ヘラヴィーナは聖善の魔女などではなく、その正体は悪に満ちた暗黒の魔女だったのだ。


神にも等しい絶対的な力を手に入れたヘラヴィーナは、自分の子供達4人と共に全ての人間を支配し、恐怖と悪に満ちた理想の世界を作ったのだ。


それから千年近くの時が経った聖歴2400年―――

相変わらず人類はヘラヴィーナとその子孫たちによって支配され続けていた。
一定の数で管理され、数の少ない魔女達の労働力として働かされる人間たち。

奴隷であることに反発を覚える人間は片っ端から処刑される恐怖の世界で、いつしか人間たちは逆らうことを忘れていた。

だが……

世界には魔女に対する反抗心を忘れていない人間が残っていた。
そして同時に魔女達は侮っていた。

こんな世界でもわずかながらに発達を続けた人間の科学を―――



聖歴2400年某日 ベルンディル地区マースト島

かつて中世では欧州と呼ばれた地域に存在する小さな島。
そこは人口200人程度の島で、人類が唯一研究をすることを許された島。

島の周りは厳重な結界が張られており、誰一人逃亡できないように管理されている。
ここでは優秀な人間の奴隷達が日々が魔女の為に便利な道具を研究し、開発させられているのだ。

魔女達は科学に疎く、魔法以外の事を研究する意欲は限りなく低い。
千年の時の流れで個々の能力や系統が異なり技量にも差が出始め、多種多様となりつつあった魔女達が均等に便利な生活を送れるようにと、ヘラヴィーナの方針で、研究を進めさせられていたのだ。

ここに閉じ込められた人類はいくつもの発明をしてきた。
電気、ガスの利用方法などを開発したのもこの島の人間だ。

一度発明が出来てしまえば、動力源は魔法で無限に用意できる。
同じような効果を発揮する魔法も開発できる。

人類の発明は、同時に魔女達の文明も発展させているのだ。




「できた……!」



『対魔女用催眠銃』

「これさえあればあいつら魔女も……!」

マースト島で研究を強いられていた科学者ダイモンは、密かに開発していた催眠銃を完成させていた。
魔法の力で人間の作りだした武器ではどうにもできない魔女達。
そんな魔女達を倒すためには彼女達の精神の根幹を操作するしかないと考えたダイモンは、研究の末に光を浴びせることで魔女を強制的に催眠状態にする装置を開発、小型化することに成功したのだ。

「あとは魔女にこれを撃つだけだな。実験は……できていないから本番がそのまま実験か」

「……失敗したら死だな」

ダイモンにとってもこの催眠銃の開発は失敗すれば死を意味する危険な賭けだった。
開発途中で見つかれば当然命は無いし、実験対象に出来る魔女も存在しないのでいざ使うとなっても本番一発勝負。
しかも使うとなればある程度近い距離で魔女の正面に立ち、光線を発射しなければならない。

必然的に魔女が一人の時を狙うしかないわけだがこれがまた難しい。
マースト島はその重要性もあってわずか200人の人間に対して6人もの魔女が存在し監視の目が多い。
しかもそのうちの一人はヘラヴィーナの実子である次女シェラーナ・ロンズデーもいた。

六方晶の魔女と呼ばれていて、自己強化魔法を極めた魔女。
純粋な強さでは魔女達の中でも最強を誇る。
その体は剣や弾丸はもちろん、爆発などの衝撃にもビクともしない。

性格もやっかいで、人間の男を犯し、飽きればすぐに殺してしまう凶悪な性質をもっていた。
彼女は数週間前にやってきたのだが、その理由も「管轄していた地区の人間を殺し過ぎた」という理由で、ヘラヴィーナから懲罰の意味を持って辺境に飛ばされた形だ。

シェラーナの存在は危険極まりなかったが、一方でそれをチャンスとも考えていた。
強さに絶対の自信をもっているシェラーナだからこそ、この銃を使うチャンスがある。

ダイモンはシェラーナに謁見し、とんでもない願いを出したのだ。

「あなたを倒せる銃を開発しますので、どうか完成の暁には1対1で対決させていただけないでしょうか」

「お前本気で言ってるのか?」

「本気です。私が作り出した銃の威力をもってすれば、あなたを殺せないまでも気絶させることはできると考えております」

「どうか技術の粋で作り出した銃を、あなたで試すチャンスをいただけないでしょうか」

これを聞いたシェラーナは馬鹿笑いした。

「クハハ、久しぶりに腹の底から笑った気がするよ!」

「いいだろう、お前の命知らずさに免じて1対1に応じてやる」

「明後日のこの時間、この部屋でだ。ちゃんとあたってやるから、精々威力をあげておくんだな。はは、クハハハ!」

「ありがとうございます」

この進言で殺される可能性も十分にあった。
だが己の強さに自惚れているシェラーナは喜んで受けたのだ。

刺激の無い辺境で舞い込んできたちょっとした遊びに飛びつくのも無理はない。

ダイモンは対魔女用催眠銃の最終チェックをして、翌日に挑んだ。
失敗した時のことを考え、遺書を書き残して……。






「さぁお前の銃で撃ってみな!狙いを外すなよ」

「わ、わかりました」

シェラーナの部屋で二人っきりになり、催眠銃を向ける。
ここまでくればほぼ成功というところまできて尚、銃を握る手は震えた。

普通の銃と違って光を浴びせるものなので、よほど方向を間違わない限りは必ず当てることができる。
それでも失敗の事を考えると心底怖かった。

(覚悟を決めるしかない……!)

「クッ!」

意を決して引き金を引くと、催眠光線銃は前方のシェラーナに向かって強い閃光を浴びせた。

ピカッ

「なっ!?」

銃弾が飛び出してくると思っていたシェラーナは閃光をもろに浴びてしまう。
そして―――


「……」


「せ、成功か……!?」

シェラーナは微動だにしなかった。
表情にも生気が無く、ただそこに突っ立っているだけ。

近寄って見ても瞬き一つしない。

(成功だ……!!完全に催眠状態になっている……!)

見事、魔女シェラーナの心を無防備にすることに成功したのだ。
この時の気持ちを後年ダイモンは著書でこう語っている。

あの瞬間の興奮は人生でも3本の指に入る。
あれで全ての戦いは終わった。その後のことは全ておまけと言っていい。あれが魔女と人類との最終決戦だった。



魔法で心臓を破裂させられようとしているのではと思うくらい、胸はバクバクと鼓動し興奮した血が全身を駆け巡る。
失敗した時のことは十分に考えていたが、成功した時のことはそれ以上に考えてきてある。
自分が興奮状態になることも想定できていたから、この後どうするかもちゃんと紙に書いてきていた。

紙には成功した時の自分に向けて、注意を促す文章まで書いてある。

『不要な遊び危険、復讐を急ぐ必要も無し。すぐに魔女を支配せよ』

「そうだ……落ち着け、こいつに復讐してもしかたがない」

人間が殺されるところを何度も見てきたし、その中には家族もいた。
今すぐにでも復讐したい、これまでの怒りの全てを人類を代表してぶつけたい。

その衝動を抑えるのは大変だったが、昨日の自分がそれを抑えてくれた。

ダイモンは冷静……といえたかはわからないが、とにかく丁寧に暗示をかけ、目の真の魔女を自分の支配下に置くことに全力を注いだ。

シェラーナが自分の部屋を対決の舞台にしてくれたことで、なんの邪魔も入らず全ての工程を終えることが出来た。

(目覚めてどうなっているか……頼む。成功していてくれ)

催眠状態を解除する時が最後の関門。
これで目を覚ました時に正気だったらやはり命は無い。

しかし事は上手く運び、杞憂で終わる。

「偉大なる主、ダイモン様。私の全てはダイモン様の意のまま……卑しい下僕魔女シェラーナになんなりと御命令下さい」

「お……おぉ!せ、成功……成功したか!」

目覚めたシェラーナは、すぐさまダイモンを主人と認識し、跪いて忠誠を誓ったのだ。
それが演技ではないことは明らかだった。

彼女はプライドが高く、遊びや冗談であっても人間どころか他の魔女相手でも頭を垂れることは無い。
まして跪いて、自分を卑下するなど絶対にありえない。

「御命令が無ければ、このままお傍にいてよろしいでしょうか」

「あ、あぁ。ちょっと待て……め、命令を考えるから」

「かしこまりました。ではこのまま待ちます」

(はぁはぁ……!い、いかん。興奮が止まらん)

(魔女が私に跪いているというのはあまりにも……!)

恐らく人類が誰もみたことのないだろう光景を目にしていると、ダイモンも心臓の高鳴りが納まらなかった。

「お、お前の命令なら、この島にいる魔女は言う事を聞くのか?」

「もちろんでございます。少々生意気な者もおりますが、私の力を前に逆らう者はおりません」

「そ、そうか。ならお前のその権力を私の為に役立ててもらいたい」

「仰せのままに……」

それから一週間でこの島の様子は激変した。
島にいる魔女達はシェラーナの助力によって次々洗脳され、島にいる人間の男の慰み者になった。
洗脳された魔女は誰もが人間に媚びへつらい、蹂躙されることを嬉嬉として受け入れ、忠実に命令に従った。

もちろんダイモンも魔女達を犯したが、その過程でわかったことがある。
それは人の子を孕めば魔女達はたちまちその力を失ってしまうということだった。

幸いシェラーナが孕む前にその事実に気付いたことで、最も強力な手駒を失わずに済んだ。
そこでダイモンは犯した魔女達が妊娠しないように、不妊の魔法を使わせることにして対策した。

魔女達を逆転支配するようになると、今度は人間達が欲を見せ始め、よからぬことを考える者が出始める。
これはあらかじめ予想できていたので、彼らも気付かないうちに支配した魔女達の魔法を使って、人間もダイモンに反逆しないように洗脳した。

自分が洗脳した魔女に仲間を洗脳させるのは躊躇ったが、この頃にはダイモンの価値観も多少変化していて、人類の最終的な勝利の為には人類の支配もやむなしと考えるようになっていた。

「失礼します。偉大なる主、ダイモン様へ御報告がございます!」

「あああんっな、なんだ急に!今は御主人さまへの御奉仕中だぞ」

「構わん。報告しろ」

「ハッ!先程連絡があり……」

シェラーナが抱かれているところに、配下の魔女が報告に来やってきた。
その内容はシェラーナの働きぶりを確認するために彼女の姉妹たちが視察にくるというものだった。

「ヘラヴィーナは来ないか。まぁしかし……かえって好都合かもしれない」

ダイモンはこれを好機と判断し、視察にくる魔女達も支配することを画策し、実行した。


つづく
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コメント
3160: by あびゃく on 2019/05/23 at 07:20:07 (コメント編集)

>対する魔女側の戦力はわずか600人
僅か数年で7000人以上魔女が減ったのか それとも闘える人数が全体の1割未満だったのか

>魔女達からも魔力と魔法の全てを吸い取ってしまった
あ~こういう黒幕系というか チャンスを待って邪魔な奴を倒して最高の力を手に入れるキャラ結構好き!

普段は温厚そうなキャラとかが 本性を現してこういう事するのならさらに好き!

魔女の百騎兵のベルダみたいな
ttps://i.ytimg.com/vi/wQmSFwqaM8g/maxresdefault.jpg

ttps://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/011/337/54/N000/000/045/145146876116107085179_mj_5508.jpg

ttps://i.ytimg.com/vi/qoRs-4vXd6Y/maxresdefault.jpg

>聖歴2400年
約1000年か~ ランスシリーズなら魔王がそろそろ代替わりするくらいの月日がたちましたね

>魔女達は科学に疎く
あ~これは、科学で魔女倒す機械作っててもそんな事がわからず別の物だといわれて信じて研究費だしてるアレですわw

>彼女達の精神の根幹を操作するしかない
そうすれば、強大で無限の魔力を使って逆にこっちがなんでもできちゃうようなりますからね

>ある程度近い距離で魔女の正面に立ち
正面じゃないとダメってのはキツいですね

>自己強化魔法を極めた魔女。 純粋な強さでは魔女達の中でも最強を誇る。
それなんてハンターハンターのウヴォーギン?
あの人も身体能力最強クラスの強化系念能力者だったから最初にクラピカの念能力の実験に使われたんだよね~ 復讐相手の1人で念を封じる念を使った際 身体能力最強だからこいつを倒せるなら他も全員倒せるという確証を得るために

>懲罰の意味を持って辺境に飛ばされた形だ
辺境で研究施設がある
別の地域でやりすぎたり失敗した存在が懲罰で赴任してくる

エターナルアルカディアのモンテスマ地方のようだ
※作中の敵バルア帝国の植民地になっている緑豊かな土地 鉱山にこの世界で一番の科学者(こいつの発明品が主人公側の船、装甲、武器、必殺砲  敵側の最新鋭戦艦や敵の移動要塞など多岐にわたって使用されている)が管轄している土地で  主人公と戦わずに逃げた別地域の幹部がここに懲罰の意味で飛ばされて来ていた

>強さに絶対の自信をもっているシェラーナだからこそ
絶対的な強さを持っているからこそ有効な手ですよね~
めだかボックスのキャラ達にも有効そうだな

>島にいる魔女達はシェラーナの助力によって次々洗脳され
権力的にも逆らえないし 身体能力的にももしバレても抑えつけられてその間に洗脳できますからね~

>人の子を孕めば魔女達はたちまちその力を失ってしまうということだった
舞乙himeやストライクウィッチーズ系か~
とあるエロ小説だと孕んでいる間 魔女は魔法が殆ど使えなくなるって設定で一度中に出されたらその僅かに残った魔力で女王蜂や女王蟻みたいに精液を生きたまま腹の中に残して産んでも即孕むように刻印を刻まれてたな~

>洗脳描写がある自分が知ってる作品317
オーバーロードよりクレマンティーヌ
ttp://seiga.nicovideo.jp/seiga/im5224183

2巻に登場した敵で、英雄級の実力を持った性格破綻者で人を殺すのが大好きで愛していて拷問も大好きなサディスト
この世界では彼女と良い戦いができる戦士は作中でも英雄クラスの数人しかいない

スティレットでぶすっと刺し殺すのが主な闘い方 ビキニアーマーには、今まで殺してきた冒険者のランクプレートが縫い付けてまるで鱗鎧のようにしている

元はスレイン法国の特殊部隊漆黒聖典の一員だったが国を裏切って逃亡中のところを主人公と出会って殺された 後に死者蘇生されているらしいが未だに再登場していない
声はまどかマギカのまどか

mc要素はスティレット
4本ほど所持しており 普段は普通に武器としてのみ使用しているが、それぞれ別の魔法が付与されており 刺した後雷撃や火球などを食らわせたりできる

そしてその中のひとつに”人間種魅了”の効果が付与されているものがあり 相手に突き刺す事で相手を親しい友人のように感じ 刺されていても全然大丈夫だ と感じ情報をペラペラと話しだす
作中では情報屋から情報を引き出すためにしようした。














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