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「あら汁」と「かに汁」あと……「ブラジル」って言われました。

思わずフフッって笑ってしまった自分が悔しい。

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受けてはいけなかった依頼。妃英理の夢が叶う日

妃英理

弁護士である妃英理のところに、独立前に所属していた事務所の恩師が訪ねてきた。
ある訴訟の弁護を依頼されたのだが、それを変わって欲しいという内容だ。

「カウンセリングをした相手からの訴訟ですか」

「そうなんだ。依頼人は製薬会社で社員のケアを行う部門に勤めていて、カウンセリングを担当している。担当した社員が辞めた後に原因はカンセリングにあったと訴訟を起こされたわけだ」

「カウンセリングの内容に問題があったと?」

「相手はそう言っているが、その問題とやらが漠然としていてね。とにかくカウセンリング内容が不愉快かつ不適切であり、その結果会社で仕事を続けるのが辛くなって辞めざる負えなくなった。だからその責任を取って賠償金を払えと言っているんだ」

「……私にはただの腹いせ、八つ当たりに思えますが」

「だろう?実際私も依頼人が普段しているというカウンセリングを体験してみたが、何もおかしいところはなかったし、むしろ気持ちが晴れたようだったよ」

「普通に取り組めば誰が担当しようと万が一にも負けることはありえないんだが……私はあいにく来週から長期海外出張が入ってしまっていてね、しかし先方はバックに会社もいるし古くから付き合いがある顧客だけに無下にもできない」

「ある程度実績のある人物でなければ失礼にもなる。そこで妃君にピンチヒッターを頼めないものかと思ったんだ」

「先生の頼みでしたら喜んでお引き受けしますわ」

「そうか!助かるよ、無理を言ってすまんな」

勝利確実な案件でしかも恩師の頼みとあっては断る理由もなく、妃英理はそのカウンセラーの弁護人を引き受けることになった。

名刺を渡されて向かった先は、依頼人が務めている企業。
『鶴屋大天江製薬』という鶴屋製薬と大天江薬品の二社が合併してできた大企業だ。

事前にアポを取っていたこともあり、すんなり依頼人と面談することができた。

「初めまして、弁護士の妃です。宜しくお願いします」

「榊と申します、宜しくお願いします」

面談には会社側から三人が参加した。

依頼責任者として榊浩一郎(男性 52歳 営業部統括部長)
本件の雑務補佐として経理部から大天江優樹菜(女性 28歳 経理部主任)
彼女は大天江副社長の娘であり、訴訟トラブルを経験させるために参加している。

そして訴訟の被告となっている佐原怜治(32歳 メンタルケア部門 カウンセリング係長)だ。

「佐原怜治です。宜しくお願いします」

「妃です。宜しくお願いします」

挨拶もそこそこにテーブルにつくと、訴訟内容の詳しい説明がなされた。
原告は元営業部課長代理 朝倉尚紀(男性 41歳)

「彼は営業成績的にも悪くなく、素行にも問題の無い平均的な社員でした」

「が、ある時期を境に何か悩みを抱えるようになったようでね」

「佐原君のカンセリングを受けたりもしていたのだが、結局は退社してしまったんだ」

「カウンセリング内容について、当時の記録は残っていますか?」

「もちろんです。佐原君」

「はい。こちらが当時の記録です」

4回分のカウンセリング記録があり、そのどれも大した内容ではなかった。
漠然とした悩み相談から始まり、不満を募らせて精神的に疲れていることが本人の口からも語られていたが、
それに対する助言内容も含めて特別なことはまるで皆無。

「……確かにこれを拝見する限りでは、佐原さんの落ち度はありませんね」

「そうでしょう?本当に逆恨みとしか言えないので困っているんです」

「映像の記録はありますか?この記録だけでも十分ではありますが、映像さえ残っていればそれが決定的な武器になります」

「残念ながら映像までは……。カウンセリングはプライバシーに関わることも多いので、むしろ映像は残さないようにしていまして」

「そうですか」

それもそうかと思いながら、細かく話を聞いていった。
あらかた内容を掴み、彼らの言っていることに矛盾が無いと感じた英理はまず勝てるだろうと言う話を伝える。

念のため、実際に佐原怜治のカウンセリングを受けてみることに。
それで不快感を感じなければ、後は法廷に臨むだけだ。

「状況を再現したいので、普段使用している部屋で、普段通りのカウンセリングをお願いします」

「そう言う事でしたら佐原くん、カウセンリングルームにご案内しなさい。我々は一旦席を外すから、終わったら声をかけるように」

「わかりました」

大企業のオフィスだけあって、カウンセリングルームも8畳くらいの広さがあり内装も綺麗だった。
椅子に座ってデスクを挟み怜治と対話形式でのカウンセリングが始まる。

「出来るだけ普段通りにしてください」

「わかりました。ではそこの椅子に座ってください。今お茶を入れますから」

「お気遣いなく」

「いやいや、これは普段からしていることです。基本的にカウンセリングって会話なので、喉が渇くんですよ」

「ま、お茶を入れるって言ってもコレですけどね」

お茶と水が出るだけの良くある業務用サーバーに紙コップ。
確かに大したものじゃなかった。

「さて、と。では始めましょうか」

「お願いします」

「今回はお悩みがあって相談に来ているのとは異なるので、社内のストレスチェックで行っているカウンセリングをします」

「いくつか質問していきますが、答えたくない質問はパスして結構です」

「わかりました」

怜治は普段使っている用紙を見ながら、順番に質問をしていく。
その内容は当たり障りのない物がほとんどだ。

「次の質問です。貴方は最近家族や親族で悩みを抱えていますか?」

「……人並み程度には」

「ではその悩みによってストレスを感じていると思いますか」

「そうですね、感じることもあります。けれど仕事に支障をきたしたりということはありませんし、強いストレスとまでは思いません」

「わかりました。ではここからは二択での質問になります。イエスかノーでお答えください」

「1、人混みが苦手である」

「イエス」

「2、通勤時に憂鬱になることがある」

「イエス」

「イエスと答えた方、その頻度は週に2回以上である」

「……ノー」

「3、現在の業務内容は自分に合っている」

「い……イエス」

「4、過去の失敗を頻繁に思い出す」

「う……?え、えーと……ノー……」

質問に答えていくと、英理は少し頭がボーッとするような感覚を覚えた。
具合が悪いとかではないのだが、何か少しふわふわするような感覚だ。

そしてそれは次第に強くなっていった。

「9、自分の裁量で業務を行うことができる」

「ん……う……?」

「9、自分の裁量で業務を行うことができる」

「……の……ノー……?」

「……妃さん、聞こえてますか」

「……」

その時点で英理は返答をしなくなった。
気を失っているわけではないが、明らかにボーッとしていてアゴもあがり、天井を見上げてまるで上の空だ。

「……思ったより時間がかかったな」

怜治は椅子から立ち上がると、英理の脇に移動して様子を確認する。
体調を気遣っているわけではない。これは彼が英理に飲ませた薬の効き具合を確認しているのだ。

(飲んだ量が少ないからかかりが浅いが……ここまで行けばなんとか例の状態まで持っていけるだろう)

彼が飲ませたのは『アンジール3130』という新薬であり、飲んだ人間の精神状態を弛緩させる薬だ。
所謂催眠状態にしてしまう薬であり、お茶に混ぜられたそれを少量とはいえ英理は飲んでしまった。

「妃さん、私の声が聞こえますか?」

耳元で良く聞こえるようにゆっくりと話しかけると、少し間をおいて反応があった。

「……はい……きこえます……」

「あなたは今、とてもリラックスしていますね。心が落ち着いて、深いところにある状態です」

「……はい……リラックスしています……」

「こころがおちついて……ふかいところに……あります……」

「そうですね。心は深いところにいけばいくほど心地よく、あなたもそうなることを望んでいます」

「ふかいところ……のぞんで……?」

「……もっと気持ち良くなりたい、そうでしょう?」

「……う……?」

(駄目か?)

「……」

「……はい。きもちよく……なりたい……です」

(よし!掛りが浅くて危なかったが、これならいける)

「ではこれから私が1から数えていきます。数が増えれば増えるほど心はどんどん奥まで沈んでいきます」

「かず……ふえる……どんどん……しずむ……」

「はい。奥に沈めば沈むほど、気持ちが良くなっていきます」

「そしてもっとも心の奥底までたどり着いたら、あなたは舌をだします」

「なぜなら、そこでは自分の全てを曝け出し、何もかもを解き放つことができるからです」

怜治はゆっくりと耳元で数字を数えていった。
精神を奥底まで落すための数は個人差がかなり大きく、人によっては10も数えないで到達する者もいれば、100以上を要する時もある。
そういう意味では英理は実に平均的な数字で、30になったところで舌を出した。

(ここまでは順調だな。あとは暗示を与えるだけだ)

「あなたは今、心の一番深いところにいますね?」

「はい……いちばんふかい……です……」

「そうですね。そこはあなたの心や気持ち、考えを司る場所です」

「こころやきもち……かんがえ……つかさどる……」

「はい。ですからそこで聞いたことは、全てあなたにとって絶対の真実になります。わかりますね?」

「きいたこと……すべて……しんじつ……はい……わかり……ます……」

こうなってしまえばどんな相手だろうとその心や認識は怜治にとって白紙の紙に等しい。
何を書いても良いし、書いたことがありのまま反映される状態だ。

そんな人格形成すら自由にできてしまう無防備な英理に怜治は暗示をかけていく。

「あなたは犬を飼ったことがありますか?」

「ありません……」

「それは何故ですか」

「好きじゃないから……です……」

「それは違います」

「ちが……う……?」

「違います。本当の理由、それはあなたが自分のことを犬を飼う側ではないと考えているからです」

「いぬを……飼う側……ではない……?」

「はい。あなたは自分が人に飼われたいという強い願望を持っています。ですから犬を飼いたいと思わないのです」

「私は……じぶんが……ひとに飼われたい……願望を……」

英理に飼われたい願望を与えた怜治は、そうなった理由付けもちゃんと行った。
幼 児退行を行い、友達の家にいた犬のことを思いださせる。
友達に飼われる犬を見て、自分もそうなりたい。誰かに飼われたい。そう強く思うようになったと記憶を改竄したのだ。
幼少期に強く抱いた気持ちは、英理の精神を現代に戻すことによって勝手に彼女の中で熟成され、大きな願望になっていた。

「私は……ずっと飼ってくれるひとをまって……つねに……首輪と……たづな……持ち歩いている……」

「それを言って……受け入れてくれた人に……飼われたい……飼ってほしい……です……」

ここまで暗示を与え、英理の鞄にペット用の首輪と手綱を忍ばせておけば矛盾はなくなる。
あとは正気に戻ってからカウンセリングの中で英理が自分からそれを告白するようにしておけばよい。

ここから先の不安要素は、催眠状態を解除した直後だけだ。
どんな人間でも、催眠から覚めた瞬間に意識が飛んでいたことにたいする違和感を感じる。
それをうまく処理できなければ催眠暗示が失敗してしまうこともある。

しかしそういったリスクも、熟練している怜治は簡単に対処してみせた。

「というわけでここまで色々と御回答いただいたわけですが、最後にもう一つ質問に答えてもらえるでしょうか」

「え?あ、はい。わかりました」

自然に話しをつなげることで、目覚め直後から自分のペースで進めることができる。
それはカウンセラーの顔も持つ怜治の強みだった。

「妃さん、あなたは誰れにも言っていない秘密はありませんか?」

「誰にも言っていない秘密……ですか」

「そうです。誰しも秘密はあるものですし、隠すことは別に悪いことじゃありません」

「ですがこれはカウンセリングです。自分の内に秘めたものを曝け出さなくては意味がありません。そうでしょう?」

「確かに……そうですね。ええ、私にも隠している秘密はあります。けど……」

「言いたくないような、後ろめたい秘密だと?」

「そういうわけでは……!」

「妃さん。安心して下さい、カウセンリングで聞いたことは他言しません」

「仮に犯罪行為や、特殊な性癖だったとしても他に漏れる心配はありません。ですからここでは全てを解き放ちましょう」

『大丈夫。みなさんしていることですから』

「……!」

「そ、そうですね。わかりました、私の隠している秘密をお話しします」

みんなしていることだと聞いて何か急に自分の中のハードルが下がったような気がした英理は、誰にも話したことの無い自分の性癖を打ち明けることにした。

わずか数分前に植え付けられた性癖を、昔から隠し続けてきたこととして……。

―――

「妃さんが男性に犬のように飼われたいという願望をお持ちな事はわかりました」

「首輪を常に持ち歩いていることからも、その欲求は相当な物のようですね」

「はい……」

恥ずかしそうに視線を外す英理に弁護士としての凛とした力強さは感じられない。
ここまで自分の胸の内を曝け出してしまえば、普通の女をカンセリングしているのと違いは無い。

「解決方法も単純明快ですね。実際にその欲求を満たせば済むんですから」

「そ、そうは言いますけど……こんな子持ちの年増を飼って下さるような男性なんて……」

「大丈夫です。私が飼ってあげますから♪」

「えっ」

一瞬浮かべた英理の表情は、驚きと期待が混じった表情だった。

「わかりませんか?私があなたを飼うということです。犬になりたいのでしょう?私もちょうどペットを飼いたいと思っていたんですが、それがあなたのような素敵で自立した女性であれば願ったり叶ったりです」

「ほ、本当に私を飼っていただけるんですか?その、首輪を付けて……牝犬として面倒を見て頂けると……?」

「もちろんです。飼う以上はしっかり躾けますし、懐いてもらいますが飽きて捨てるようなこともしませんのでご安心下さい」

「な、なんてことなの……

英理が言った「なんてこと」は、30年以上も胸に秘めていた願望が突然叶う状況になって出た幸せと驚きからくるものだった。
まさか仕事中に飼い主になってくれる人と出会えるなど思ってもいなかったので驚きは当然とも言える。

「その、私を飼って下さるというのは……このカウセンリングの間だけではなくずっとということで良いのですか?」

「もちろんです。むしろあなたほどの女性を飼うのが私で良いのか聞きたいくらいです」

「私を飼ってくれる人なんて今まで一人もいませんでしたし、普通ペットは飼い主を選べません。私もそうです」

「それを聞いて安心しました。では首輪を付けてあげますから、裸になってください」

「は、はいっ!」

興奮した様子で彼女らしくもなく雑に服を脱ぎ捨てる。
子供を産んでいるとは思えない引き締まった張りのある肢体が露わになると、思わず怜治も見とれてしまう。

「さ、さぁ!早く首輪をつけてくださいっ」

「焦らなくても大丈夫ですよ」

このチャンスを逃すわけにはいかないと焦る英理をなだめ、カチャカチャと細い首に犬用の首輪をつける。

「これでよし……と」

窮屈ではないが、決して余裕でもない絶妙な締まり具合で首輪は固定されると、英理はまるで犬のようにはぁはぁと興奮で涎をたらし、言われてもいないのに床にごろんと寝転がった。

「はは、まるで本当に犬という感じですね」

「飼いならされた犬の服従ポーズそのままだ」

「は、はい!私は犬ですっ。御主人様の牝犬なんですっ

操助が裸の牝犬の頭を撫でると、嬉しそうに舌を出して喜んだ。
自分の願望が叶えられた英理は幸せに包まれている。

「お前はもう私のペットなのだから、新しく名前をつけてあげよう」

「ペットとしての名前……!ぜ、是非お願いしますっ」

「そうだな……妃つながりで、ティアラなんてどうだ」

「ティアラ……」

ペットとしての名前を与えられた英理は飛び跳ねて喜び、飼い主の怜治の顔を舐めて嬉しさを表現した。

「わんわんっ

「はは、あんなに凛としていたのにペットになるとこうも可愛くなるのか」

「きゃうん~……

ティアラは飼い主の足元でくねくねと体を擦り付けてはじゃれ、もはや人間というより本当にペットのように見えた。

(おっと、今はこのくらいにしておくか)

(こいつが役に立たなくなるとまずい)

このままだと牝犬になりきって本当に人間であることを捨ててしまいそうだと思った怜治は、一旦ペットから人間に戻るように命令した。

これにはかなり悲しそうな表情を見せたが、目標を与えることで言う事を聞かせた。

「今度の裁判に勝ったら、その時は正式に人間を辞めて俺のペットにしてやる」

「もし負けたら、お前をペットにするのは無しだ。わかったな?」

「わんっ……じゃなくて、わかりました」

「必ず勝って見せます。そして必ず本当のペットにしてもらいます」

「その意気だ」

「……はい」

(心の中で言うなら構わないわよね。……わんっ)


訴訟は鶴屋大天江製薬側の勝利で終わった。
そしてそれが弁護士妃英理としての最後の仕事となり、それ以降「妃英理」の姿を見た者はいない。

彼女に似た牝犬「ティアラ」であれば、インターネット上で飼育される光景が度々アップされていたが、それを妃英理だと思う者は誰もいなかった。

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